四方山話


スポーツと暴力

桜甫翁(山口 )

(2013-02-12)

柔道全日本女子の代表選手に対する暴力、パワーハラスメント問題が報じられている。折しも高校生が自ら命を絶つ事件があり、クラブ活動での教師による暴力が原因ではないかと言われている。

柔道全日本女子の代表選手の告発文によると「人としての誇りを汚されたことに対し、ある者は涙し、ある者は疲れ果て、又チームメイトが苦しむ姿を見せつけられることで、監督の存在に怯(おび)えながら試合や練習をする自分の存在に気づきました。」とある。選手と監督の信頼関係が損なわれているといってよいであろう。競技に勝つことよりも監督に怯えて試合をしていては、勝てるものも勝てないのではないか。ロンドンオリンピックの女子のメダルは金1銀1銅1の計3個であった。メダル獲得数は過去最低と惨敗に終わり、特にお家芸といわれた階級でメダルを逃している。

柔道は、東京オリンピックからオリンピック競技になり以後国際競技として進化している。日本の柔道は、この変化についていけてなかったのではないか。強化選手の中には、柔道を技術論でなく精神論でかたる指導陣に不満があったとも聞きます。オリンピックで結果がでなかった以上、強化体制に問題があったと疑って見ても良かったはずです。しかし、現体制のまま次期オリンピックを目指すことが決まっており、日本の柔道界は何の反省もなく旧態依然とした体質を温存することにしていたのです。今回、選手の告発というかたちになったが、自浄作用が期待できないのであれば致し方ないであろう。首脳陣や監督を替え近代的な組織と指導方法を取り入れ、勝てる柔道に変わることを期待します。

高校の強豪校のクラブは、父兄などに体罰を容認する傾向が強いという。強くなるためには、暴力も容認するという考えのようである。一方で、暴力で強くなることは無い、合理的な管理と練習法が強くするともいわれます。
体罰が全て悪とは思いませんが、やりすぎれば批判されて当然と考えます。どこまでが許されるのかは難しい問題ですが、少なくとも教える側と学ぶ側の信頼関係がない状態での体罰は、百害あって一利なしでしょう。
指導者は、専門家の意識を持って、最新の知見を取り入れた質の高い指導を心がけてほしいものです。

プロフィール 桜甫山人。のんびりと田舎暮らしを楽しみ、四方山話を愛する。

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