四方山話


越境大気汚染

 共同通信が北京発として中国の北京や河北省、山東省などを有害物質を含んだ濃霧が覆ていると報じている。その面積は日本の3倍以上、中国の3分の1の地域に及ぶといわれ、北京や天津などで大気汚染指数で最悪の「深刻な汚染」、内陸部では2番目に悪い「重度の汚染」だそうだ。http://www.47news.jp/CN/201301/CN2013012901002093.html

 

 大気汚染は、1970年代の日本で社会問題になり、その後、排気ガス規制や公害防止技術の進展により、落ち着きをみせていた。ところが、数年前から西日本の広い範囲で高濃度の光化学スモッグが観測され、中国などの東アジアから越境してくる物質が影響していることが指摘されている。今回の中国の大気汚染がそのまま日本に流れてくる訳ではないようだが、少なからず影響はあるであろう。公害を懸命な努力で押さえ込んだ日本が国境を超えてやってくる有害物質に悩まされる、何とも割り切れない思いがつのる。

 

 大気汚染は、越境してくる物質だけでなく自国で発生する物質など複雑に混ざり合っていると聞く。今、日本では、いつ起こるとも知れない事故に怯え、電気を得るために石油や石炭を燃やしている。排気ガスの処理設備があるとはいえ、全ての有害物質を取り除けるわけでもなかろう。大気汚染の原因となる物質は、できるだけ少ないに越したことはない。光化学スモッグが呼吸器系の疾患を増やすなど、健康を害することは過去の経験から学んだはずである。国や企業のおいては総合的にリスクを判断して最善の方法をとって頂きたいものである。
 これから黄砂の季節がやってくる。黄砂は、中国の乾燥地帯の砂塵がその大部分を占めるが、なかには遥か中東の砂漠の砂も混じると聞いた覚えがある。大気汚染は、思いのほか広い範囲に影響を及ぼしている。独立行政法人 国立環境研究所のホームページに「研究最前線 越境大気汚染〜広域的な光化学オゾン汚染の現状と要因」と題した論文が掲載され、その中の「今後の課題」で「東アジア地域の広域大気汚染問題を解決するためには、国際的な大気環境管理に向けた取り組みを早急に実施する必要があり、そのためには、 越境大気汚染対策およびその副次的効果としての地球温暖化対策を考慮しながら、国際的な合意形成に向けた戦略を構築することが重要です。」とある。http://www.nies.go.jp/kenkyusaizensen/200905/200905.html

日本がこれまで培ってきた公害防止技術を役立て、技術立国の面目を施してほしいものである。

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