西風東風


空は何色?

野村 郁子(山口市 美術家)

 晴れた空が青く感じない時もあれば、暗闇が暗いと感じない時もある。
 私は花を描いていた。庭のガーベラや、紫陽花の花、野に咲くあざみや名も知らぬ花。ふとスケッチブックをめくると、数年前の冬に描いた千両があった、青や黄色オレンジで、感じたままに描いている。それは、お正月に飾られるおめでたい千両ではなくて、暗い裏庭の片隅で、静かに根を張り、赤い実を付けている千両だ。このスケッチを油絵の作品にしようと筆を取った。
 花や植物を描きながら、子どもの頃を思い出す。遊び場は、レンゲの田んぼと白詰草のあぜ道だった。レンゲを摘んでは蜜を吸い、白詰草で首飾りを編んだ。レンゲの茎はポキンと折れて、首飾りにはならないのだけれど、白詰草の茎は、しなやかで強い。摘んでも摘んでも、そこは白詰草だらけで、飽きるまで首飾りを作った。
 大人になって、レンゲも白詰草も見なくなった。いつか白詰草のじゅうたんを見つけたら、寝ころんでみたい。その時、空は何色に見えるのだろうか。

プロフィール:のむらいくこ。山口市鋳銭司出身。短大卒業後、山口に戻り油絵を描き始める。ふるさとの人や自然は、興味の尽きることはない。

コラム 西風東風